2005年09月24日

巧緻性と作業療法

戦場の兵士   巧緻性…作業療法ではよく聞く言葉。

   針穴への糸通し、箸操作、書字・・・

   主に手指の動きについて使われている言葉。

   ですが、巧緻性って手指に限っている気が。

ワタシ自身が“巧緻性”についてあいまい!? まずは辞書(大辞泉)で検索してみました。


こうち【巧緻】
 精巧で緻密なこと。たくみで、細部にわたってよくできていること。また、そのさま。
 「―を極めた作品」「―な文章」

「うーん、わかったようなわからないような(^^;)」
「では“たくみ”って一体?」

たくみ【巧み】
 物事を手際よく、じょうずに成し遂げるさま。
 「馬を操るのが―な人」「―に難関を切り抜ける」

例えばジョッキーの手綱さばき、F1レーサーのコーナリング…
物事に対する正しい解決策をすばやく見つけるための運動能力とでもいうのでしょうか??

「うーん、まだまだ思慮が浅いかも」

我がOT室のライブラリーで巧みさについての書籍を探索。
「ありました(^^) いい一冊が!」 では少々引用を。


A.短距離走者がトラックを走っている。彼はライバルたちをごぼう抜きにしてしまった。
 彼のストライドは長く、一挙手一投足が非のうちどころなく美しい。
 隅々まで分析しても、やはり合理的で、目的にかなっていることが証明されている。

B.彼は敵よりも先に森の入口までたどりつかなければならなかった。
 敵は走りながら銃を撃ち、彼を森に逃げ込ませまいとしていた。
 野原はでこぼこだらけだった。彼はいちど湿った草ですべって転びそうになった。
 敵はもう泥だらけだったが、五感は研ぎ澄まされていた。
 彼は自分の脚の間から、ときどき敵の姿をちらりと見て、次に相手がどう動くか予測し、
 同時に自分が次の10mをどう進むかを計画した。
 ついに彼は草むらの影に隠れた溝の上を鳥のように跳び越し、森の入口にたどりついた。

Aは運動の純粋な完成形を示しているが、巧みだと判断するには何かが足りない。
Bは兵士の命を救ったのは他でもない巧みさだと胸を張って言えるだろう。

ABどちらの場合でも、動作は走ることであった。
しかしこの二つを比較すると、巧みさはどうやら運動それ自体にあるのではなく、
変わりゆく外界の条件との相互作用によって現れてくるということだ。

走ること自体の中には巧みさは含まれない。
巧みさは走る人が外的に与えられた問題を解決するために動作を調整する中に含まれるのだ。

デクステリティ―巧みさとその発達(金子書房)より


このことを作業療法に置き換えると、
外的な環境(日常的な生活の中にある行為)に適応した柔軟な調整を、
患者さん自身が実現していくこと…それが巧みさ、巧緻性と言えるのではと感じます。

●巧緻性についてはこの一冊に凝縮●


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Posted by lymansagyou at 21:05
この記事へのコメント
作業療法における巧緻動作訓練って
基本なのに…あいまい(汗)
歩行の巧みさ(起伏や床面の変化、屋外実用歩行など)
日常における巧みさ!!
しっかり理解して、実用歩行はOT!といわれたいですね

運動のレベル、巧みさの発達、手指に限定しない巧みさ…
確かに、巧緻性についてはこの一冊に凝縮されていると思います(笑)
Posted by ヤッチ・・・ at 2005年09月25日 12:43
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